久しぶりに小説を読みました。
とは言っても、歴史小説。
戦国時代を舞台にした、主人公は松永久秀。
タイトルは、『じんかん』
僕は常々、物事は角度を変えてみたら違って見えると考えている。
この小説はまさにそれを著している内容でした。
⒈松永久秀といえば
戦国三大梟雄と言われるくらい、戦国時代の3人の大物悪人として、今の世まで語り継がれています。
いつ、どんな家に生まれたかは謎で、名物茶器と言われる「平蜘蛛」と「九十九茄子」を所有している。
さらに、本格的な天守閣を初めて作った人としても有名で、そのお城はかなり堅牢だったと言われている名将。
しかし、足利将軍家を抹殺したり、主家の三好家を翻弄し乗っ取ったり、東大寺を焼き払ったり、といった3大悪事を重ねたことの方が有名です。
それは、世間一般での理解ですが、小説では違うように描かれていました。
⒉その人にとっての正義とは
ONE PIECEみたいな話になってしまいそうですが、その人にとっての正義の基準は何か。
今回の『じんかん』ではそれをものすごく考えさせられました。
小説では、松永久秀の目線で起こる物事への対処、義理、人情といったものが描かれており、そもそも誰のためにいろいろとやってきているかというと、やっぱり恩人のためだったわけです。
恩を仇でかえすことは決してなく、信念に基づいて織田軍への忠誠と裏切りがあったわけで、決して三好家への裏切りはしていないと見るのが、この小説の作者の狙いだったようです。
世間の人にはどう映っているかは別として、本人がどの正義を貫いていくか。それが共感されるかどうかは別として、合理的かどうかも別として、真に貫きたいことを貫いた一人の人の生涯を描いている。
⒊改めて問う、正義とは何か
人が共感することが絶対的な正義なのか。
合理的な事が正義なのか。
好きなものを好きと言える事が正義なのか。
間違いに対し、「まちがっているよ。」と諭してあげるのが正義なのか。
何が正しいかなんて、正解はわかりません。
でも思うことは、一度きりの人生。みんなに嫌われるようなことをすることもなく、自分自身の正義が誰かに理解されて、「あの人はこのために頑張っていたんだね。」と応援してもらえるような生き方でありたいなと、小説を読み終わった時に感じました。