大河ドラマでも主人公になり新しい一万円札の絵柄にもなる近代日本経済の父、渋沢栄一。
彼の著作の中では論語と算盤が有名ですが、数々の言行録は『渋沢栄一全集』として残っており、その中の一部を現代語訳されたものが今も本で読むことができます。
ということで今回読んだ本は、これ
君は何のために「働く」のか
タイトルを見ただけで、色々と考えさせられます。
そもそも何のために働くのか。
そりゃ、食い扶持のためだとは思いますが、働き始める前はいろんな志とか思いを持っていたと思います。
その頃の思いと今の思いには変わりはありませんか?変わりましたか?
別に変わってないから良いとか、変わったから良いとかそういうわけではなく、気持ちの振り返りをすることで、今の立ち位置の確認と軌跡の確認をすることができるのではないかと思っています。
この本は、渋沢栄一のモノローグ的な流れで進んでいきます。
生まれてから、一橋慶喜に仕えて、明治6年に政府を辞めて実業家に。
人生の中で数々の事業を起こして、それが100年以上経った今でも我が国の有数の大きな企業として残っています。
それだけのものを残したのは本当にすごいことだし、今の日本でそこまでのことを成し遂げることができる実業家は数えるくらいじゃないだろうかと思う。
本を読んでいくと、渋沢栄一さんの考えの根底には愛読書である「論語」が深く影響しているようだ。
そして、面白いと思うのは、金儲けは決して悪いことではないということ。
それは論語と算盤に詳しく書いてあるので、紹介はしません。
そう、その論語のいろんなこと、礼節だとか、孝とか、基本的なことがその生活リズムにも出ていたようだ。
本書では働くことというよりも、生きること全般にわたっての心構えが書いてあったと思う。
これは心がけとして自分のものにしておきたいと思ったのは、
・人の話をよく聞く
ということ。
年寄りだから考えが古い。若いから考えが甘い。そういうことではなくて、違う考えがあるからこそ、掛け合わせることで新しい価値観が生まれる。それは昔も今も変わらない。
よくよく考えてみれば、文明ができてから5千年のうち、技術革新はあっても、人の心は変わらない。結局はそういうことだ。
ちょっと自分と合わないこともあるだろう。人間だもの。
ちょっと思い通りにいかないこともあるだろう。
ただ、その上手くいかなかった時こそどういう風にいるのか。
人としての修養がものをいうのではないか。
圧倒的に知識や体力がなくても大丈夫。
普段から不摂生がないように生きる。
長く健康に生きられるなら、命がある限り、志に向かって進んでいける。
そう思わされる本でした。
自伝的な本はリアリティを感じて勉強になります。
自分自身に何ができるかを考えさせられますね。