東洋哲学を大学時代にやっていた身としては、こういったタイトルの本を見かけてしまうと、ついつい読んでしまいます。
正直に申し上げますと、漢文に慣れていない人で、組織で働く人が「参考にしてみようかな」と思って読んでみるのであれば良い本だと思います。
こういった類の本は、作者の読み取り方というか、変換の仕方が独特なので、古典としての孫子が好きな人にとっては少し抵抗があるかもしれません。
しかしながら、文章が平易なので、読みやすい本です。
さて、内容ですが、これも目次を見るとかなり充実しています。
目次をしっかり読んで、この本を読む意義を再確認してみましょう。
しかも、第一章に入る前の序章が充実しています。
僕もかなり共感していますが、”情報”の取り扱いについて、かなり重視しています。
その情報とは、
・自分たちが持っていること
・周りの状況
なんだけど、これをいかに利活用するか。
そしてどこまで情報を伝えるか。守るか。
交渉ごとにはとても大きな駆け引きがあるのだけど、情報をどこまで出すかは大切なこと。
今は情報公開の時代だと言われていますが、出せない情報もあるわけです。
持っている情報の出し方を間違えると状況判断も間違えてしまう。
これは本当に気をつけないといけないことです。
孫子は原典では戦い方の種類についていろいろな角度から説明しています。
今現在の孫子の訳本は、今から1800年前に魏の曹操が注釈をつけたものが主流となっており、あの三国志の英雄も愛読していたし、実践していたということで長年人気のベストセラーなわけですが、これは今を生きる人にとっても本当に役に立つことばかりです。
戦いを別のことに変換していくと、良い活用ができる。
特にビジネス戦略という視点でいくと、会社経営もそうだし、自治体経営にも活かせる。
これを最近流行りのOODAと同じように見るのも良い。
孫子よりもっと古い戦略の本では『三略』とか『六韜』といったものがありますが、戦術・戦略の数は少ないです。シンプルな戦略が示されているのみです。
シンプルだからこそ、劉邦みたいに荒くれ者のヤンチャ坊主でも読めたのだけど、戦略を体系的にまとめたのが『孫子』
これを現代の実例に当てはめてこの時はこうする。こうできる。
という事例集だと思って読んでみると良いのかもしれない。
基本は、
無駄な消耗は避け、少ない力で大きな成果を得る
ことなので、どうしたらそれができるのかよく考え、そして周りの仲間と対話をしながら実践をしていくようにしていきたい。
改めて、基本を思い出すきっかけとなった本でした。