橋下徹さんといったら、ものすごい強力なリーダーシップでグイグイと施策を推進したイメージが多くの人にあると思います。
その決断はどういった風にしていったのか、それを知りたくて読んだ本が今回の『決断力』
この本を読んでのまずの感想は、「弁護士の経験をフルに活かしていてすごい。」です。
テレビに映る橋下さんは、テレビの演出でご本人が意図しない雰囲気になっていたかもしれませんが、その強いリーダーシップは多くの人に強烈な印象があったと思います。
しかし、これまでの橋下さんの本全部を読んで、かつこの本を読んでみると一つ一つのプロセスをものすごく大切にしているんだなと感じます。
⒈意思決定までの過程
なんといってもこれが一番大切。
トップが独断で、決めて、強くトップダウンで進めるような事は、そのトップが元々公約やその組織の元々あった課題解決のためのことであることが多いと思うのですが、不確実性の高い案件の場合、流石にトップダウンで決めるのはかなりの困難なことです。
橋下さんがここでかなり重視していたのは、”手続き”
どう言った手続きで決めていけば多くの人に納得してもらえるか、それを最優先にし、ことを進めていた。
そのためには賛成意見だけでなく、反対意見もきっちり聞く。
反対意見に対しては深掘りして、反対の理由や根拠を確認する。もし何らかの数値が関連していることならその数値の内容を確認する。しかし多いのは感情的な反論。この場合はどれだけ長く聞いても判断の材料にはならないですね。
僕はこの手続き論については、いつも個人的に使うワードでいうところの”対話”ではないかなと思いました。
⒉謝り方
人間だもの、誰もがミスをします。
ミスをした時の対処の仕方にその人(またはその組織)の人間性(組織の体質)が出ます。
やはりどうしてもミスを繕おうとして、変な誤魔化しをしようとするのはカッコ良くない。
ミスがわかったらすぐに謝る。そして修正や訂正をお願いする。
それもこれでもかというくらい、徹底する。
多くの人は間違えないことを期待するが、「絶対に間違えない行政」という考え方から少し反れても良いのではないか。
なんと言っても、誰もが普通の人間。機械のように完璧にものを覚えているわけでもないし、プログラミングされた装置のように完璧にこなすことは難しい。
もちろん、やるからには完璧を目指しますが、人間だもの、ミスをすることだってある。
ミスがわかったら大切なことは、まず周りと共有する。そしてそのミスの影響範囲を調べ、確定させる。それに対してどう対処していくか考え決めていく。判明した時点での第一報は結構大切です。それから色々と明らかになってくる原因と対処方法は分かり次第粛々と進めていく。
ここで変に誤魔化さないことも大切。
その過程をトップまで共有することも大切。
⒊未知なるものへの決断
新型コロナウイルス感染症のことを含め、今の時代何かと未知なる事は多くあります。
その時に何かの決め事で大切にしたいのは、2つ。
・感情に流されないこと
・勘に頼らないこと
専門家の意見を聞きつつ、どこまで耐えうるか、いろんな状況を見て判断する。
その時に専門家の偏った意見だけを聞かない。現場のいろんな意見も聞く。
その中でわかってくることはあります。それは、何かの糸口。
共通する事象があれば、それが基準になると思うし、何らかの段階がわかるかもしれない。
時間は限定的ですが、事実をしっかり確認して、順番に整理していくと現状と今後の推移も見通しがわかる。
その中でトップが選択肢の中から決定していく。
それまでに対話をしているので、納得されやすい解が出来上がるはずだ。
⒋まとめ
やはり大切なのは、強い信念でも、強い独断でもない。
対話。というか、その手続き、意思決定までの過程。
思い込みでものを進めると、大きな落とし穴にはまってしまいます。
まずは状況をしっかり分析するために、よく聴く。そこから話は始まるのかなぁと感じました。