いつも中国古典ばかり読んでいますが、たまには日本の古典も読もうと思って手に取ったのが、この本でした。
ちょうど令和4年の大河ドラマは「鎌倉殿の13人」ということもあり、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての人の暮らしがわかるエッセイが『方丈記』
⒈こんなにも面白い本をなぜ
高校生の頃、国語の古文はものすごく苦手でした。
その後大学生になってから家庭教師をやるようになってからも「漢文は最強だけど、古文は最弱」と生徒からも言われるくらい、古文は苦手。
そんな過去もあり、これまで方丈記を積極的に読もうと思ったことはなかなかありませんでした。
しかしながら、今回読んだ『すらすら読める方丈記』は解説がものすごくわかりやすく、大人になってからの学び直しにも良いし、もし高校生の時に読んでいたら文法は分からないでも、話の内容がものすごくわかってたかもしれないので、苦手意識がなくなっていたかもしれないです。
何より、鴨長明さんのキャラクターってこんなに面白いのかと思い知らされます。
⒉どの時代にも困難はつきもの
「俺が若い頃は、こんな苦労があった。それに比べたら今は。」
ついつい口に出してしまいそうになる、過去の苦労武勇伝。
歴史を紐解いてみても、どの時代も困難はつきものなんだなと感じさせられます。
方丈記が書かれた時代はやっぱり大激動の時代だったようです。
・大火
・辻風
・福原遷都
・大飢饉
・大地震
こんな自然災害や大事件が起こる中、どんなふうに生き延びていったのか、その時混乱する気持ちをどう抑えて生きていたのかを知ることができるのは、今のこの「解のない時代」にも、似て通じる部分があります。
⒊鴨長明自身について
本人談。
エッセイなので、主観的にいろいろなものを捉えてはそれを天才的な表現力で文章にしている。
元々はエリート街道まっしぐらだったのに、それを避けるかのように歌道や音楽の道を歩み。
神社をやっている家から追い出され。
これまで住んでいた家の3分の1以下のサイズの家に住み始め。
その家の中でも2分割にして、そのスペースを楽しむ。
神社やってたのに、阿弥陀信仰に篤い。
面白い生き様だなと思う。
本人も、何かと中途半端にやってきた事を”責めるふり”をしているのだけど、案外楽しんでいたようにも読み取れる。
今も、僕たちが自分のやってることに自信が持てなかったり、「中途半端だなぁ」と感じてしまったりすることがあるとは思うのだけど、過去の立派な文学者だって同じ事を思っていたと知る事ができた時に、「あ、やっぱり人ってそういうものなのかな」と気楽な気持ちになれる。
もちろん理想に向かって頑張りたいのだけど、なかなか上手くいかないこともある。人間だもの。
晩年の鴨長明さんの生き方は、ワンポールテントを2ルームにして日々キャンプを楽しんでいたように僕は感じた。
過去の人の生き方を知ることで、今の困難を乗り越えるヒントがあるなと改めて感じる。日本の古典も悪くないな。簡単に読める本が増えてるから、他にも見つけられたらどんどん読んでいきたい。