ゴールデン読書ウィークと称して、自宅で読書をしていますが、何も活字ばかりが読書じゃないです。
漫画だって立派な読書。
例えば我が家の子どもたちは『はたらく細胞』を読みまくっているおかげで、体の仕組みについて、なんだかものすごい解説をしてくれるようになっています。
一方、僕はついつい大学時代の専攻が東洋哲学という事もあり、手が伸びてしまうのが哲学本。
読んだのは、マンガの論語と孔子。
⒈最高の入門書
まず、帯に推薦してる人のメッセージが良いね。
・若年層でも楽しめる本(落合陽一先生)
・最高の入門書(佐藤優先生)
小学校低学年の子どもにはちょっと難しいかもしれませんが、高学年や中学生くらいになれば歴史みたいな感じで楽しめるのではないでしょうか。
所々にある注釈がまた面白い。
⒉孔子の生涯
15にして学を志す
30にして立つ
40にして惑わず
50にして天命を知る
60にして耳順う
70にして己の〜
という言葉に知られるように、孔子は勉強ばっかりしてた人かなと思われがちですが、時は中国の春秋時代。覇者として中原を制覇していた周が衰え、群雄が割拠し始めてた頃の話。
なので、孔子自身も剣を持って戦うことがあったようです。
とはいえ、当時の古典である詩経や礼楽を極めた学者という事もあり、いろんな学問を修めて、”理想の国は(政治は)これだ”というありたい姿をしっかりと描き、バックキャスティングで実現させようとした人物でした。
⒊歴史は繰り返す
昔も今も変わらないのは歴史は繰り返すということ。
善政と悪政は入れ替わる。
孔子の理想はかなり高い。実際に出生地の魯という国で取り立てられた時には大臣格まで登りつめますが、民にとっての善政は当時の為政者にとってはかなり厳しいものだったようでいざこざがあり、孔子は弟子とともに旅に出てしまう。
そしてまた悪政に戻ってしまう。
孔子の”天に順う”という意志は、権力者による私利私欲を許さないものだったから、その後も旅先での士官は、現地の大臣たちの陰謀で叶わなくなってしまう。
どの国や地方でもそうかもしれない。
絶対的なトップがいればその人の強力なトップダウンでものが進むが、それが誰のためなのかを、今は住民が判断することができる場合が増えている。それが善性に感じる人もいれば悪政に感じる人もいる。ものの価値観が多様化している現代社会においても難しい問題だ。
今、孔子が政治家として居たとしても(住民に人気があるが)かなり揉めるかもしれない。
⒋まとめ
この漫画の面白いところは、出典が論語に留まらないことだ。
孔子が洛陽に学問修行に行くときに、老子に会う。まるで竜にあったようだ。というエピソードもあった。これは『老子』からの出典。
孔子と老子が同時期に生きていたかは定かではないが、好きなエピソードだ。
他にも『史記』や『戦国策』に掲載のエピソードもいくつかあった。
という事で一方的に論語を押し付けるわけでもないので、歴史という面で楽しめると思う。
理想の実現に向けては達成できなかったことが多かったけれど、その言行録や教訓として残された『論語』は今も多くの人の心に根付いていてすごい。
お酒が好きだけど、だらしなくない。
困難が目の前に現れても、大声で笑える。
敵に対しても「ご苦労さん」って声をかけれる。
面白い人物だよな。って思わされます。
マンガ論語と孔子。
— 中村弘和| Хиро Питер Накамура (@nakachannel104) May 3, 2021
これ読んで「あぁ、そうだ。」と思う事が沢山あったのは、大学の一番最初の授業中にが朱子集注の論語で、次に子思の中庸をやったからかもしれない。
韓非子だ荘子だと僕が言う前に大元は孔子なんだなと思う。 pic.twitter.com/LHdk9XHSgn